ポローニア=ポーランド!
とにかく明るい!
この曲は1836年の春ごろに作曲されました。この時期のワーグナーはというと「恋愛禁制」という自分のオペラの上演に失敗した時でした。この曲に関しては「ワーグナーの初」という項目で詳しく述べます。
それから、この時期はポーランドで独立革命が行われていて、ワーグナーもその影響を受けていました。そこで生まれたのが序曲「ポローニア」で、ポーランドの民謡や舞踊の音楽も取り入れられています。これは演奏会用の序曲の一種で、何か後に続きを伴わずオーケストラの音楽だけで完結する1曲の楽曲です。その類の曲はベートーヴェンやメンデルスゾーンなど他の作曲家も作っています。
では、この曲はどうなっているのかと言いますと、序奏付きで全体的には明るくて快活・あっけらかんとした曲調の音楽で、演奏時間は約11分です。小太鼓・大太鼓・シンバル・トライアングル・ティンパニも積極的に鳴り響き、今までのワーグナーのイメージを覆すかのような華々しさが展開されます。ポーランド革命の影響があるので、軍楽隊の打楽器や威勢がこもっているのは当然と言わんばかりです。私にはロッシーニなど別の作曲家の音楽を聴いてるかのような気分にもなります。ですが、時としてワーグナー特有の個性が発露する事があり、和音や弦合奏のうねる様な響きからそう感じられました。それまでのオペラよりも彼の個性が表れていて、「ワルキューレ」など後の有名な音楽につながる様な片鱗も窺えます。
しかしながら、ワーグナーのオペラの前奏曲や序曲・ブラームスなど他の作曲家の演奏会用の序曲と比べると、若書きなのもあってどこか表面的で厚みに欠けてしまいます。ワーグナーがオペラに力を入れたのは前にも述べた通りですが、その分野のノリでこの演奏会用序曲を作っていた節も感じられます。なぜ、この様な事が起きてしまうのかは最後に長く述べます。
総じて言えば、ポーランド革命の影響が出た若書きであり、音楽的な進歩が見受けられた作品です。